4塔婆について
古来より、造塔すれば功徳がある、と信じられてきた。このことは様々な仏典に見られる
が、いってみれば、塔婆とは仏様の形を表わしたものであり、人間の体盗ともいえよう、追善
供養には必ず五輪塔をたてるが、これは寺院の境内に高くそびえる五重の塔と同じ意味をも
っている。
北米、角塔が本式で.板塔婆は略式であるが、鎌倉時代からこの板塔婆を用いるようになった
ようである。五輪が地水火風空の五大を表わしていることは、その形態をみても理解できる。地は
四角、方形、水は円形、火は三角、風は半月、半円、空は円形である。また、五輸山体が仏様の
姿であるところから、地にあたる四角のところが膝であり、円いところが腹、三角のところが胸、半
円形が顔で、その上が頭であるともいえる。
この宇宙もこの五大によって成り立っているので、宇宙全体を表わし、そのまま大日如来の姿と
いってもよい。
だから、塔婆を建てるということはそのまま、仏像を建立するということてある。建った塔を見るこ
とによって、亡くなった人に対し、また仏様に対し、報恩と感謝の念がおこり、先祖を供養する気持も
高まるものである。さらに、これらの気持をもつことによって、供養する人自身も罪業か浄化され、苦
界から逃れることができる。仏果が進むといわれるのである。仏典「金鋼頂光明真言品」にも、「塔婆
を安置したてまつり、父母の墓所を建立せぱ、その霊、地獄悪趣に落ちず、蓮華座の上に生まれ、極
楽浄土の仏前の蓮華の上に生ぜん」と説かれている。
だから、塔婆を建てるということは、大変供養を積むことにもなるのである。これらの功徳については、
佐伯啓造著、昭和十八年発行の「塔婆の研究」にも詳しく書かれている。
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