4お彼岸の意味と心得
彼岸とは、彼の岸に到る、という意味である。即ち、迷いの此の岸より悟りの彼の岸に到連する、ということである。
そこで、彼岸というものの起りであるが、まず、彼岸の時節というものは夜と昼が等分で長短なく、仏教における中庸の道と一致し、気候も「暑さ寒さも彼岸まで」というように、寒からず暑からずよく中道を得ているところから、両極端にならないために春秋二回を選んだわけである。そして、春の彼岸、秋の彼岸共に太陽は真東から出て真西に没するわけである。
阿弥陀仏の浄土というものは真西にあるとされ、このことを広く衆生にわからしめるために彼岸会を営むようになった、といわれるわけである。
今日では陽暦によって、春秋の二回、三月と九月のニ十日前後を中心として前後一週間、法要を営むことになっている。だから、いってみれぱ、この彼岸会は日本独特の、先祖を崇拝する意義ある仏教行事といえよう。この仏教的な伝統がいつしか民衆の生活に入りこみ、季節の分かれ目を知らしむようにもなったのである。歴史を探ると、延暦年間にこれを初めて修したという。この日、寺では彼岸会を営み、子孫は墓参をし、僧侶が壇信徒の家へ出向いて読経供養することになっている。
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